木村伊兵衛賞を受賞し、一躍有名になった浅田家の皆さんがアルバムを眺める姿からスタートした今回の特集ですが、その締めにぼくがどうしても掲載したかった写真がこれです。今回の特集のキーとなった影山光洋氏による昭和20年の作品「灯火管制下の我が家」。芋っ子ヨッチャンがまだ生まれる前、学童疎開中の長男を田園調布に連れ戻した夜、半年ぶりの一家団欒を記録した写真は、浅田家の写真とまるでリンクするように、いや、浅田家の写真が奇しくもこの写真をなぞっていたというべきでしょう。明かりに照らされた一冊のアルバムを囲む家族の姿はとても象徴的で、ぼくが今回の特集で伝えたかったことのすべてが詰まっているように思います。特集冒頭のテキストで述べたように、アルバムをつくるという行為が、どんどん後回しになってしまっているこの世の中で、ぼくたちはなんとか、多くの人たちがアルバムづくりという最高の楽しみを味わってくれるよう、これからも言葉を投げかけ続けようと思います。